SHAM69


"Hersham & Walton 1969"。ロンドンから南へ少し離れた町ハ―シャム。その地のサッカー場に書かれた落書きである。69年に地元のチームが活躍。それを称えたもの。だが風雨に晒され文字が消えていく。”Sham 69”だけが残る。ジミー・パーシーはその地の出身。それをバンド名とする。が、それが幸と不幸の始まり。フットボール・スキンヘッズの支持と介入である。バンド結成の動機はピストルズ。同編成とする。が、一連のロンドン・パンクには胡散臭さを感じていた。所詮彼等は注さん階級。パーシーは労働者階級のリアルな声を代弁していく。が、それがまたスキンヘッズの支持を煽る。

77年シングルデビュー。制作はジョン・ケイル。元ヴェルヴェット・アンダーグラウンド。以降の制作にも積極的だったが、パーシーのDIY精神にそぐわず、拒否。ベーシストがデイヴ・トレガナに交代。デイヴ・パーソンズ、マーク・ケイン、そしてパーシーの黄金カルテットの誕生。78年2月、ファースト・アルバム「Tell Us The Truth」を発表。快進撃は、その直後に始まる。「Angels With Dirty Faces」「If The Kids Are United」「Harry Up Harry」と傑作シングル三連発。ステイタスを築く。

が、常に彼等にはスキンヘッズの暴力が付きまとう。その象徴的事件が、同年のレディング・フェス。大観衆を巻き込みパンクスとスキンズが乱闘。暴徒と化す。「If The Kids Are United」をもっても制止できず、泣き崩れすパーシー。SHAM69の人気の光と影が一気に露呈した瞬間だった。これが直接的な引き金となり翌年には、活動を停止する。その間「that's Life」、そして「The Adventures Of The Hersham Boys 」を発表。日常的ストーリーを描写した前者、音楽的センスを反映した後者、ともに力作だった。

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