Label Reprise
Producer Henry Lewy
Art Direction Gary Burden
Nationality Canada
Running Time 35 : 41
Track Listing
01 All I Want 3:32
02 My Old Man 3:33
03 Little Green 3:25
04 Carey 3:00
05 Blue 3:00
06 California 3:48
07 This Flight Tonight 2:50
08 River 4:00
09 A Case Of You 4:20
10 The Last Time I Saw Richard 4:13
"Blue" はカナダ出身の シンガー、シンガーソングライター Joni Mitcell(ジョニ・ミッチェル)の4枚目のアルバム。
タイトル曲でもある5曲目の「Blue」は、全英チャートで5位にるヒットとなった。
1975年の「The Hissing Of Summer Lawns」で、Joni Mitchellは、アメリカ郊外の微妙な色合いの肖像画を冷静で客観的な視点で描いた。
「Blue」は、それとは対照的に、とてもあからさまで(露骨で?)主観的(私的?)であり、告白のようにも感じられる。
Mitchellは後に、自分は世間に一切隱しごとをしない主義だったので、自分が強い人間であるようにも、また幸せな人間であるようにも見せかけることはできなかった、と述べている。その結果として、とても痛々しいほどに美しいアルバムが仕上がったのだ。
ジャケットは、インディゴブルーの影に潜む2色刷りのMitchellの肖像画で、ビバップ時代の(古典)作品を思い起こさせる。しかしその中身は、ジャズには少しも影響されず、シンプルな弦楽器と生のピアノ演奏だけである。
ビルボードは、彼女のより力強く確信に満ちた歌声を称賛したが、それではほとんど100万枚以上も売れたこのアルバムの、Mitchellの歌声の身の毛もよだつほどの?誠実さは伝えきれない。
焦点が当てられているのは、はかない喜びと、神経を引き裂くような落第(失墜?)との関係性だ。「My Old Man」では恋人ヘの忠誠心を、胸が張り裂けるほどの明確さで表現している。同様に、「A Case Of You」では、心休まることのない恋愛に対して、悲しいが、寛大な(思いやりのある)賛美をうたっている。
唯一タイトルトラックだけが、かつては楽観的だったが今となっては弱体化した?つまずきの多い?世代に対する嘆きであり、それに大きな関心を寄せている。2つの軽快な曲「California」と「Carey」でさえ、より暖かい気候の郷愁に満ちた場所を求めて、その旅立ちを歌ったものである。
またMitchellは、「The Last Time I Saw Richard」において、落ちぶれた質素な生活を送る人間の肖像画を描き、その人物を描く才能を予感させている。James TaylorとSteven Stillsがギターで参加しているにも関らず、「Blue」では、Mitchell以外の存在が感じられない。彼女は、この圧倒されそうな作品の冷たい中心に、ひとりで立ちつくしているようだ。
今でも名盤の一つに数えられる1枚。
Joni Mitchell / Blue